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ゲスト&アーカイブ

第8回:前田 寛文さん - 高松市教育会常任理事 / 有澤 陽子さん - 子育てネットひまわり

2013年1月24日 15:00~16:00

【レビュー】 担当ディレクター:人見 訓嘉

第8回の「つな友」は、結果的には前回のゲストと「創造性」つながりとなりました。今回のテーマは「教育は地域づくりの核になり得るか」。お越しいただいた「つな友」は、前田寛文さん(高松市教育会常任理事・「地域も学校」コーディネーター)と、有澤陽子さん(NPO法人子育てネットひまわり代表理事)。

有澤さんは、地域のみんなが楽しく子育てできる豊かな環境づくりをめざして、子育て中の親たちが互いに支え合い、共に育ちあうことができるような「親育ち、子育ち」を活動の目標にしたプログラムを展開。「もうひとつのおうち」と言う「ひまわりはうす とことこ」を中心に活動をしています。

一方、「地域も学校」は、放課後に地域の子どもたちがコミュニティセンターで、地域の方と学習する活動です。現在、太田南と太田地区で開催しています。子どもたちは地域の方と、そろばんや漢字の学習のほか、地域のことも教わります。地域の人にとっては、子どもの成長にかかわることを生きがいとできる取り組みです。「地域を考え、自分を考える子ども」「地域に働きかけることのできる子ども」を育むことをめざしています。

教育とは、狭義には学校教育のことを指します。そこには、限定された時間のなかで上げるべき成果が評価対象となります。その成果主義の枠を外すと、教育という核の周辺には地域社会が広がっています。地域社会の特性の第一は、存続です。それも、できれば発展的に存続したいと願います。発展の原動力は、人。人がそこに暮らす喜びや幸せを伝統的に受け継ぎ、それがDNAレベルに刻まれるようになれば、その地域は発展的に継続するのだろうと前田先生はおっしゃいました。

先に述べた「喜び」や「幸せ」は、自分が地域に影響を与えているという意識からも生まれます。有澤さんの「子育てネットひまわり」の活動も「地域も学校」の活動も、その一つだと言えます。このような活動は、創造的なものです。前田先生がお話された「守破離」。生きる力を内蔵させた型を身に付け、自分なりにそれを打ち破ろうと試み、自由に創造していく一連の様が、共通の価値として地域に根付くと、その地域は、どんどんと人から人へ、世代から世代へ温かさが受け継がれるDNAが育まれていくのだろうと思います。例えば、あいさつは一つの型。狭義ではなく、生きる力としての「型」を学ぶ場として地域は機能します。

学校教育でも、「活用」ということが言われはじめているそうです。学んだことを試すことで、その学びを強固にするねらいがあります。地域はまさにその拡大版。「これからのわたしたちに必要なコトは?」という質問に前田先生は「地域において幸せを追求できる場」、有澤さんは「柔軟性」と答えられました。創造性によって地域を耕す営みがもっともっと広く認知され、かかわりが拡がり、風土となって定着すれば素晴らしいだろうと思いました。


第7回:三好 直美さん - さぬきアートMOT.

2012年12月2日 13:00~14:00

【レビュー】 担当ディレクター:浜崎 直哉

毎月第2土曜日、南部商店街田町交番西のポケットパーク4町パティオで、定期開催されている、「てづくりフリーマーケット」。この12月で1周年を迎える、このフリーマーケットの主催者の一人が、今回のゲストの三好直美さんです。

三好直美さんは、善通寺西高校インテリアデザイン科、嵯峨美術短大生活デザイン科でデザインの基礎を学び、卒業後はアクセサリー作家として京都で活動。2011年結婚を機に活動の拠点を高松に移しました。京都では自らの作品の発表として、智恩寺で開催されているフリーマーケットに出店していましたが、香川ではそういった場がないため、「さぬきアートMOT」を立ち上げ自らがフリーマーケットを開催することを決意したのです。

三好さんが「てづくり」にこだわる訳は、作り手とそれを手にする人との距離を縮めたいという思いから来たものです。多様な人があつまるまちなかの路上でイベントを行うことによって、作り手は使う人の反応がより良く分かるし、使う人はものの背景が良く分かるようになる。自らが参加していた智恩寺の経験から、強く意識しています。

三好さんは、企画を始めてからわずか2か月ほどでフリーマーケット開催に至りました。このスピード感は高松ならではのものだと彼女は言います。「このまちは思いを持った人を助けてくれる人が多い。」場所の問題、手続きの問題など、周囲の様々な協力でこのイベントは形になりました。そして、南部商店街、特に常磐街は三好さんたちの新たな試みを、好意的に受け入れて様々な協力が生まれてきています。

三好さんたちのこの活動について、彼女たちはボランティアという意識で行ってはいません。基本的に赤字は出さない、持ち出しはしない。収益を求める事業ではないけれども、自らの仕事につながることがあれば、そのつながりは積極的に活かしていくことをしっかり意識しています。それは継続していくことが一番大切という意識から来るものです。継続していくと、その活動が認知され、それを目がけて人が来るようになる。今は小さなフリーマーケットにしか過ぎないかもしれませんが、京都の智恩寺のように20年続けられれば、このまちが変わるかもしれない。そのために、継続できるやり方をしていいかなければならない、という思いを彼女たちは強く持っています。


第6回:田中 未知子さん - 瀬戸内サーカスファクトリー代表

2012年11月19日 15:00~16:00

※レビュー準備中...


第5回:内海 芳美さん - 株式会社ひだまり不動産 取締役

2012年10月29日 15:00~16:00

【レビュー】 担当ディレクター:谷 益美

●「暮らし」

今回のゲストは、中古物件をデザインの力で再生し、まちに素敵な場所を増やし続ける不動産屋さん、内海さん(通称:うっちゃん)。彼女がゲストの第5回は、彼女のキャラクター通りに、笑いあふれる楽しい番組となりました。

元々一般企業でOLさんをしていたうっちゃん。不動産業の道に入ったのは、ご自宅でもあった一軒家を賃貸に出したことがきっかけです。貸したまんま何もせずにいたうっちゃん、1年後、通帳を見てびっくり!「何もしてないのに家賃収入が貯金されてる!」このことに感動したうっちゃんは、段々と所有物件を増やしていきます。

そして自分の給料を家賃収入が超えたのをきっかけに、起業。リノベーションを専門に手掛ける「ひだまり不動産」の誕生でした。

「リノベーション」ってなあに?

そんな疑問に答えるのは、いくつかの物件写真。小さなお菓子屋さん、おじいちゃんの平屋の家、アパートの1階にある心地よいカフェや、コワーキングスペース。

写真を見ながら聞く物件のウラ話も楽しく、うっちゃんの物件や依頼人に対する愛を感じる時間でした。

うっちゃんの企画力は、ひだまり流内覧会でもいかんなく発揮されていて、おじいちゃんの家が1日限りの焼酎バーになったり、開店前の美容室でワインパーティが行われたり。そこに集った人たちが、おなじ価値観で交流し、また新しい場が生まれる。そんなカガクハンノウを起こすきっかけになっているのです。

ひだまり不動産の社長は、実はうっちゃんではありません。財務をしっかり握っている彼女のご主人が社長です。夫婦で一つの会社を切り盛りするむずかしさ、日常の様子もセキララに語ってくれました。いやー、色々あるんですね(笑)。

「こひだまり不動産・・・?」

そんなご両親の背中を見て育ったお嬢さんのアキちゃんも、実は不動産屋さん。福岡町のふるーーーーーーーい倉庫物件をリノベーションして、古着屋さんに提供しています。親の七光りを最大限に活用する、そんなちゃっかりさんの彼女も、来年4月からは社会人。一味もふた味も違う新入社員として、楽しい事件をたくさん起こしてくれそうです。

もっともっと素敵な場所、行ってみたいと思わせる場所を増やしたいといううっちゃん。その言葉は、そのまま「これからのワタシタチに必要なものって?」という問いへの答えにもなっています。

素敵な場所がどんどん増える、そんなこれからがとても楽しみ。うっちゃん、アキちゃん、ご出演ありがとうございました!

気になる次回のゲストは、フランス発祥の創作サーカス、その日本での発信拠点をここ香川につくろう!と奔走しておられる「瀬戸内サーカスファクトリー」代表の田中美知子さんです。田中さんは、先日大盛況で終了した、ことでん仏生山工場「100年サーカス」の仕掛け人でもあります。


第4回:小林 繁輝さん - Irish Pub『Craic(クラック)』オーナー

2012年10月17日 14:00~15:00

【レビュー】 担当ディレクター:真鍋 邦大

●「交流」

何やら大きな布袋を両肩に下げ、e-とぴあに表れた小林さん。確か、そんなに持ち物をお願いした記憶はないのに、はて、何をそんなにお持ちなの?「暑い、暑い。」と滴る汗を拭いながら、ゴソゴソと小林さんが取り出したのは鮮やかな緑色をしたグッズたち。帽子に始まり、ぬいぐるみや小物まで全て緑。何でも、緑はアイルランドのカントリーカラーなんだとか。そう、今回のゲスト小林繁輝さんがオーナーを務めるパブは、パブはパブでもイギリス式ではなくアイルランド式。そこには小林さんの色々な想いが込められておりました。

高松でいま大人気のIrish Pub『Craic(クラック)』のオーナー小林さんは京都に生まれ、3歳からは東京で過ごされました。アメリカ留学中に見たチップ制によるサービスこそ経済そのものだと感じ、帰国後にレストラン業界に進まれました。東京でも有数のダイニングでマネージャー業務を任されるまでになりましたが、一方で直接顧客と接する機会が減り、より人とのふれあいを求める中で、プライベートで通うパブでの交流に魅力を感じるようになったそうです。

実際にパブの経営を始められたのは5年程前。皆さんがよくイメージされるイギリス式のBritish Pubではなく、アイルランド式のIrish Pubであるという所が小林さんの何よりのこだわりです。そもそもパブとは「パブリック・ハウス」の略だそうで、日本語で言うと「みんなの家」です。階級社会のイギリスではパブの中にもその影響が色濃く残っており、男性客が中心で座席も何となく定位置が決まっています。しかし、小林さんが作りたかったのは女性も子どももみんなが集まれる場所。その点、アイリッシュパブにはパブルールがあり、みんなが平等です。それは公民館のような存在で、子どもだって21時まではOK。まさに町の憩いの場所です。

では、なぜ小林さんは移住してまで高松でお店を始めたのでしょう?それは、かつて訪れたアイルランドの港町・ゴールウェイに高松の雰囲気が非常に良く似ているからだったのです。西日本でお店を始めたいと考え、神戸などを歩いて回った時、一番小林さんのイメージにぴったり来たのがこの港町・高松でした。高松の良さは海が近いというだけでなく、程よい大きさだからこそ人が繋がり易いところにもあります。いまでは評判が評判を呼び『Craic』には色んなお客さんが集まります。繁華街の中ではなく、高松駅近くの一見風変わりな場所にあるのもみんなの立ち寄り易さを考えてこそなのです。お店で生まれた縁は実際のビジネスやイベントにまで広がっています。

夏に開催されたコトデンを貸し切ってのパブトレインや、ちょうど週末に行われたばかりの仏生山温泉でのビール・イベントもその繋がりから生まれました。小林さんがお店で出すビールの大部分は国内で一般的なラガービールではなく、ゆったりと味わうエールビールです。エールビールはライフ、つまり人生を愉しむためのビールであり、文化的不良の多い高松にピッタリだったのです。小林さんの繋がりは留まるところを知りません。来期は地元バスケットボールチーム・ファイブアローズが高松で開催する試合でビールを提供する話が進んでいるのだそうです。これまた、社長の星島さんとのお店での盛り上がりから生まれた素敵なコラボです。

小林さんの念頭にあるのは、まずは自分が楽しいと思える事を提供することです。でも、やっぱり一人よりはみんな。みんながチームとなって楽しい事をアレコレ考える事で2倍3倍と楽しさは拡がっていきます。これからの私たちに必要なものを小林さんに聞きました。その答えは、やっぱり「パブ!」みんなの家。みんなが楽しく過ごせる場所が必要なのです。いいお店が一つあれば街は変わります。いいお店はいい街をつくります。「目指せ、フードシティ高松!」ってところでしょうか。ますます高松が楽しくなりそうな予感のするあっという間の45分でした!


第3回:竹内 哲也さん - 香川オリーブガイナーズ球団副社長

2012年9月28日 15:00~16:00

【レビュー】 担当ディレクター:林 幸稔

●「地域スポーツ」

 「オリーブガイナーズ」という球団があることは知っていたけれど、観戦したこともなく、野球に関しては門外漢。そんな竹内さんは、球団オーナーの鍵山さんとお会いした際に、「ぜひ観に来てください!」と。それで仕方なく、当時幼稚園児のお子さんと一緒に初観戦。まずは、お子さんが興味を持ち、それから足繁く観戦するように。そうした中で、「もっとここをこうやればいい!」「ここはこうすればいいのに!」とオーナーの鍵山さんに会うたびに伝えているうちに、球団副社長に就任。しかも、無償で。

  香川で生まれ育った竹内さんは、大学卒業後、「サニーマート」へ就職。そこで、そこにあるものにどのような「価値」を見出し、「誰に」「どのように」売れば良いのかという、その面白さに目覚めたようです。そして、縁あって、黎明期の「楽天」へ。東京で新しい商売の渦中に身を投じ、子供が生まれたことを期に、「シムリー(現 イマージュホールディングス)」へ。2006年、地域商品の商品開発・販路開拓のコンサルティング会社「スマイルゲート」を設立。

 四国アイランドリーグは、日本プロ野球への選手供給への受け皿となるべく、2005年に設立。オリーブガイナーズからは、既に15名のプロ野球選手が誕生。ここ数年は、日本プロ野球への優秀な選手の供給先として認知されています。

 野球に関わる人は本当にたくさんいます。しかし、深く関わっている人ほど、その実力を甘く見ているのも事実。強豪社会人チームでも、こんなに毎年プロ野球選手を輩出しているチームはありません!その実力をしっかり楽しむべきです!何しろ選手たちは、退路をたって、命懸けで大好きな野球の世界に懸けているのですから。

 そのせっかく香川にある、プロ野球チーム「香川オリーブガイナーズ」は、存在が近いからこそ、地域の人たちが直接関わり、みんなで育てる魅力があります。そこに既にある素材をオモシロがり、魅力を見出し、それを浸透させていく工夫をするのは、竹内さんの真骨頂です。

 試合開始時に、少年野球チームを招いて、選手と一緒にポジションについてキャッチボールを行う「スタメン・キッズ」や始球式。ボールボーイ。グランドで実際に観るプレーの迫力。

 野球教室はお手の物。地域での清掃活動や下校時の児童を守るスクールガードなどの「地域貢献活動」は、今年170以上に登ります。

 そうして、身近に接するところから始まる「オモシロがる」気持ちは、球団への愛着を確実に培養します。竹内さんには夢があります。お子さんと球場へ足を運んだことから始まった「香川オリーブガイナーズ」との関わり。そこから芽生えた愛着は、チームの発展とそして存続へ。「オモシロがる」種であるこのチームを孫の代まで存続させ、その時に、自分が関わったことを孫に話したいと。

 せっかくここにある「香川オリーブガイナーズ」という、「オモシロがる」種を植え、地域に根づかせ、みんなで育てていきたいものです。


第2回:吉田 静子さん - 十河コミュニティ協議会会長

2012年9月4日 10:00~11:00

【レビュー】 担当ディレクター:人見 訓嘉

●「コミュニティ」入門

ここで言う「コミュニティ」という言葉は、高松市の条例に規定されているものです。平成21年12月の第8回市議会定例会において全会一致で可決され、市制施行120周年の記念日である平成22年2月15日から施行された「高松市自治基本条例」の23条が、今回のお話の前提です。抜粋してみます。

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第23条
市は、市民主体の自治を推進するため、次項に規定する地域コミュニティ協議会の活動を尊重し、その活動に対して適切な支援を行うものとする。
2 市民は、市民主体の自治を推進するため、地域コミュニティ協議会を設置することができる。
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第1回の「つな友」に出演された大西秀人さん(高松市長)からのお友だち紹介でお越しいただいた吉田静子さんは、十河地区の方で、女性初のコミュニティ協議会の会長さんです。吉田さんは、「地域」は村であり、コミュニティ協議会会長は、村長のようなものだと言います。

端的に申し上げると、コミュニティとは何か?という問いに対して、「はぐくみ合う場所だ」と今日のお話では結論づけたいと思います。「地域=コミュニティ」とは、抽象的な場の総称というよりも、具体的な住人の集合体です。

「住人に育まれる地域。地域に育まれる住人。」

という言葉がぴったりときます。この関係性が、コミュニティ。

吉田さんは前田地区に生まれ、結婚後、十河地区に住んだ初日、地域のバレーチームからお誘いがかかり、メンバーの一員になったことが、その後お子さんの小学校のPTAに始まり、「十河地区女性の会」など各種団体への参加につながりました。吉田さんと一緒に来てくださった十河コミュニティ協議会の事務局員の﨑山さんは、お子さんの学校のPTAがきっかけで「地域」にかかわるようになったとおっしゃいます。

PTAなどの各種団体は、コミュニティ協議会と連携して(具体的に十河地区は、コミュニティ協議会の各部会を構成するメンバーに入って)、相互に働きかけあっています。夏祭りや地区の運動会などのイベントに組織は機能し、住人の参加がかないます。今年の十河地区の夏祭りの参加者は、およそ千数百名。地区の世帯数およそ3000戸の半数ともいえるし、そのうち自治会に加入している世帯のほぼ全戸ともいえる見事な参加率です。また、日ごろから十河コミュニティセンターでは、部屋の予約が困難なほど、盛んに住民が集まり、高齢者の趣味から子どもを育む取り組みまで、様々な活動を展開しています。

わたしは、世代間のかかわりが常態化するなかに、未来につながるコミュニティの可能性があり、そこには「育む」つまり、「教育」という視点が核となって地域が形成されていくのだと思いました。地域における「教育」とは、学校の「教育」とはまた質を異にします。学校教育は、現代社会が好む「成果主義」にも近い「できた」「できない」という評価がついてまわる現場ですが、地域における「教育」とは、「ともにめざす」とか「かかわり合う」というなかで、「人の(子どもの)成長を喜びや生きがいにできる」ということです。問題意識や言葉による高め合い、認め合い、助け合い、向上心、達成感などが、継続性を担保された上に展開される営みです。それは、万人が渇望する普遍的な充足感に通じます。地域のあたたかさにも通じると思います。そこに、人はしぜんと惹かれていくのでしょう。

人と人との「かかわり合い」が地域を育て、逆に住人も地域に育てられる。そのようななかで、吉田さんが今後の課題として挙げた「後継者育成」も、今のところ十河地区は順調に進んでいるようです。次回のゲストは、その若い世代にスイッチします。吉田さんが、十河地区に越されて以来、バレーをされていることは前述しましたが、以来30年余りにわたって続けられています。スポーツを通して地域をつくってこられたという側面もあります。そこで、その地域スポーツの顔ともいえる、オリーブガイナーズの球団副社長・竹内哲也さんをお友だちとしてご紹介いただきました。


第1回:大西 秀人さん - 高松市長

2012年8月1日 10:00~11:00

【レビュー】 担当ディレクター:小西 智都子

●いいものがあるのにもったいない

 中学2年生で井上陽水の歌に“ショック”を受け、高校時代は洋楽にハマり、レッドツェッペリンやピンクフロイドに傾倒したという音楽青年。18歳で東京の大学に進学し、大学卒業後は、北海道から九州まで、約16回の引っ越しを繰り返しながら官公庁で仕事をしてきた。そんな普通のサラリーマンだった人が、47歳のある日、「市長」になった?!

 そう、今回のつな友、大西秀人さんのプロフィールです。

そもそも、なぜ「市長」になろうと?

 「もちろん、国家公務員をやめて市長になるというのは、相当ハードルの高い決断でしたよ。まず家族は反対しましたしね(笑)。それでも、やっぱりまちづくりに興味があったんでしょうね」と大西さんは言います。自治省という地方自治を所管するところで働いていた大西さんは、外からふるさと高松を見て、「もっとこうしたらいいのに」と思うことがよくあったそう。「仕事柄いろんな町に住みましたが、それぞれ住めば都なんですよ。ただ、その土地の特色をうまく生かせているまちと、そうでないまちがある。高松の人は、“なんちゃない”と謙遜しますが、こんなに恵まれたところはないと思うんですよ。せっかくいいものがたくさんあるんだから、それを自分の手でもっと活かしてみたいと思ったんです」。

●今までのまちづくりの発想をガラリと変える

 「市長の仕事って何?」という質問に、「市役所の社長」と答えた大西さん。 市長になって最初に直面したのは「人口減少」という課題でした。

 「ちょうど任期1年目に、高松市の総合計画を見直す機会がありまして。これまでは“人口増加”を前提に計画がつくられてきましたが、これからは人口も子どもの数も減少する。今までのまちづくりの発想をガラリと変えないと、という課題に突き当たったんです。その結果、考えだしたのが「コンパクト・エコシティ」という将来像だったんですね。つまり、必要以上に都市を拡大するのではなく、既存の資源を有効活用し、高松市の中心部、郊外部、農村部を連携させながら、全体としていいまちづくりにつなげていこうという発想です。

 そのために、高松市は「中心市街地と田園地域が連携する高松コンパクト・エコシティ特区」の指定を受けました。丸亀町再開発で整備した都市機能を生かして農業や地場産業との連携を強めようというもの。「特区」というと難しそうですが、国は縦割りでいろんな規制があるでしょ。例えば、香川県は全国で一番小さな県ですが、農地面積の規制は北海道とほぼ同じ。それはおかしいだろうと。香川の近郊農業を育てるには、農地保有面積の最少単位を40アールから20アールにしてもらって、高松の特徴を生かしたまちづくりをしていこう。そんなことを可能にする仕組みなんです」。

●これからのワタシタチに必要なものは?

「コミュニティの再生」

「コミュニティ」というと難しそうですが、広義で言えば、「人と人とのつながり」ということ。「昔は、神社や鎮守の森を中心に農村社会を構成していたけれど、経済成長が進むと、新興住民が増えたり、若者の流出で過疎になったり…。だんだん人と人とのつながりが薄れてきた。それを、現在にあったカタチで、新たに結びなおす仕組みが必要」と大西さん。

 「高松市では、市内を44の地域コミュニティ協議会に分けて、自治会や婦人会など各種団体を束ねています。そして地域で問題があれば地域単位で解決し、それを行政がサポートするという仕組みをつくっています。地域コミュニティ協議会が「横のコミュニティ」だとすれば、その中核となる連合自治会は「縦のコミュニティ」。一方、地縁に縛られないNPOや個人の活動は「ななめのコミュニティ」。この3つの軸が相乗的に交わることで、新しいアイデアが生まれたり、町の魅力を上げると期待しています」。

そのために、ひとり一人ができることって?

「自分はどんなまちに住みたいか。自分の幸せってどういうこと?と、まず自分自身で考えてみてほしい。そして、そのためにやるべきことを、できるところから動いてみる。

 例えば、「安全に暮らしたい」と望む人がいれば、地域の自治防災組織に参加してみるのもいいかもしれない。東日本大震災を見ると、いざという時、自分たちだけで何日間か生き延びなければならない場合も想定されます。そのためには、日頃からご近所同士のつながりや、コミュニティ的なものはきちんとつくっておかないと、大変なことになりかねない。かつては自治会の加入率が90%以上あったけれど、今は65%ぐらいに減ってきています。例えば、「防災」という切り口から、地域と関わってみるのも一つのきっかけかもしれませんね」。

大西さんの「たて、よこ、ななめのコミュニティ」のお話。

最初から「コミュニティ」という言葉でくくってしまうと、少し窮屈に感じるかもしれませんが(笑)、そもそも地域やマチは、いろんな人たちが多種多様に暮らしているからこそ面白い。一人ひとりが自分のやりたいことや夢を実現する中で、その思いがより多く重なるところに“コミュニティ”が生まれるのかもしれません。だとすれば、「たて、よこ、ななめ」のコミュニティは、いわば「よりよく暮らしたい」と思う人たちの集まり。「コミュニティ再生」とは、まずは「私はこんな風に暮らしたい、こんなことがやりたい」と、自分の思いを声に出して話し合うことなのかもしれませんね。』